2008年3月の研究会報告
日時 2008年3月1日(土)15:30~19:00   会場 麻布中・高校

1 ムラサキキャベツを使った教材研究 西山玲子
2 科学的リテラシーの育成 田中幸
3 市川先生講演要旨 湯口秀敏
4 シャカシャカライトのコイルの誘導起電力 喜多誠
5 新学習指導要領 増子寛,広井禎
6 水波投影機 右近修治
7 ちょっとした工夫 井上健
8 岩波科学映画〈物質の構造〉の授業 長谷川智子
9 RC回路実験,カナダの地域プログラム 山田達之輔
10 ゴムひもすだれ波動実験器の改良と速度成分の実験装置 石井登志夫
11 断熱変化の実験 影森徹
12 都立高校入試問題 北村俊樹
13 熱とエントロピー 勝木渥
総会

  
西山さん「ムラサキキャベツを使った教材研究」
ムラサキキャベツから指示薬を作り,それを紙に塗った試験紙を用いて電気泳動の実験を行います。陽イオンは陰極へ,陰イオンは陽極へ向かって移動することがわかります。また,硫酸ナトリウム水溶液にこの指示薬を混ぜて電気分解を行うことによって,陽極,陰極で起こっている反応を視覚的に確かめることができます。



田中さん「科学的リテラシーの育成」 
幼稚園児と保護者のための「ふしぎしんぶん」の紹介です。



湯口さん「市川先生講演要旨」 
2006年に開かれた物理教育国際会議をきっかけに始められたPhysics Suite研究会では,昨年12月に研究大会を開きました。そのとき行われた市川伸一先生の認知科学に関する講演会の要旨発表です。


 
喜多さん「シャカシャカライトのコイルの誘導起電力」 
筒を振り内部のネオジム磁石を動かすことによって生じる誘導起電力でLEDを点灯させる懐中電灯。その出力波形はどんな形になるでしょうか?
 
左の写真の右側のようなサインカーブになることを予想しましたが,実際には左側のような上下非対称な形になりました。右の写真は,オシロによる波形です。しかし,なぜこんな形になるのでしょうか?


 
増子さん,広井さん 「新学習指導要領」 
公表された小中学校の新学習指導要領についてのコメントです。理科の内容や時間数はほぼ元に戻りました。高校の指導要領は物理教育学会,物理学会が提案した案がそのまま通りそうです。


 

 
右近さん「水波投影機」 
PICマイコンを使った発信器で,スピーカの振動とLEDを完全に同期させているので,きわめてはっきりした水面波を観測することができます。また,釘を配置した板を沈めることによって,ブラッグ反射を見ることもできます。


 

 
井上健さん「ちょっとした工夫」 
LEDを多数接続したものを黒板に貼り付け,様々な電気回路における電流や電圧を示すことができます。また,右近さんと同じような,水面波によるブラッグ反射の実験の様子も紹介されました。


 
長谷川さん「岩波科学映画〈物質の構造〉磁石の正体の授業」 
映画を見せるときに,映画に出てくる質問をあらかじめ書き込んだフリップを用意しておくおと効果的です。また,細かく砕いた磁石が鉄を引きつけるかどうかというところでは,フェライトの粉末を使って実際にやってみせると,興味を引きつけることができます。



山田さん「RC回路実験,カナダの地域プログラム」 
PCと接続可能なデジタルマルチメータをPCに接続し,コンデンサーの充放電実験を行います。μアンペアレンジで測定すると,有効数字が3桁確保できます。
カナダでは物理オリンピック代表選手の育成,選抜について大変興味深い取り組みを行っています。


 
石井さん「ゴムひもすだれ波動実験器の改良と速度成分の実験装置」
前回も紹介された波動実験器の改良版です。棒の質量を途中から変えて,波の伝わる速度の違いを観察します。
速度成分の実験装置では「動く歩道上を垂直に横切る速さは,歩道が静止しても動いても変わらない」ということ,および「運動と垂直向きの力を受けても,初めの運動方向の速度成分は変わらない」という2つの事実を示すことができます。


 


影森さん「断熱変化」
風船に空気を入れると温度が上昇し,急に空気を抜くと温度が下降することを,サーモグラフィで示すことができます。ただし,それはゴムが伸びたり縮んだりするときの温度変化ではないかという指摘がありました。



北村さん「都立高校入試問題」
今年度都立高校の理科の6番問2(記述問題)では,いろいろな答が考えられる。出題の意図は何なのか,よくわからないという指摘です。



勝木さん「熱とエントロピー」
物理教育通信131号で問題となった熱や内部エネルギーに関する話題についての意見提示です。