2007年8月 夏期研究大会報告
今年のAPEJ夏期研究大会は、8月11日(土),12日(日)の2日間,名古屋市の名城大学で開催されました。
また、大会前日の10日(金)には,オプション企画として岐阜県土岐市の核融合科学研究所の見学会が行われました。
夏期研究大会の概要(案内ページ)
期日 8月11(土),12日(日)
会場 名城大学池袋キャンパス
テーマ 「科学リテラシーとしての物理」
参加人数 49名
プログラム
11日(土) | 一般発表A | (1)「物理Ⅰ電磁気分野の教科書の変遷とゆとり世代の意識調査」 影森徹(早稲田大学本庄高等学校) |
(2)「風上より風下の方が音が大きい理由と屈折-センター試験の問題より」 杉本憲広(名古屋市菊里高校) |
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(3)「電子黒板を使った物理授業」 西尾信一(埼玉県立本庄高等学校) |
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(4)「高感度磁場入り霧箱を用いた原子物理分野の実験教材開発」 林煕嵩(愛知工業高校,愛知教育大学) |
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(5)「単式・顕微鏡」 石川和枝(元上智大学理工学部) |
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基調講演 | 「何のための科学リテラシーか」 川勝博(名城大学) |
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発表Ⅰ | 「必修2単位物理」 鈴木亨(筑波大学附属高校) | |
「英国21世紀の科学」 笠潤平(香川大学) | ||
発表Ⅱ | 「Redish氏の講演とWS」 湯口秀敏(埼玉県立大宮高校) | |
「ソコロフらのアクティブ・ラーニングの公開講座による検討」 山崎敏昭(同志社高校),岩間徹(平安女学園高校),笠潤平(香川大学) |
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「中国の理科教育の動向」 岸澤眞一(埼玉県立越谷北高校) | ||
懇親会 | ||
12日(日) | 一般発表B | (5)「公立中学校での実験についての考察」 山根津貴子(浦安市立富岡中学校) |
(6)「凸レンズを通して見えるもの」 高木雅信(岐阜県立土岐商業高校) | ||
(7)「電流回路への新しいアプローチ」 右近修治(神奈川県立横浜桜陽高校) | ||
(8)「インターネットによる物理教材の提示の試み(その1)-システム構築の諸問題-」 安竹洋平(アドバンスト・キャパシタ・テクノロジー株) |
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(9)「インターネットによる物理教材の提示の試み(その2)-WEB力学前半-」 佐藤正隆(都立昭和高校) |
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(10)「インターネットによる物理教材の提示の試み(その3)-WEB力学後半-」 森雄兒(サイエンスの森) |
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(11)「「三段階認識論」の活用を!!」 山口貴七郎(琉球大学教育学部) | ||
実験交流会 | (1)「クーロンメーター」 湯口秀敏(埼玉県立大宮高校) | |
(2)「豆腐をつぶして宇宙を考える」 飯田洋治 | ||
(3)「ピンポンキャノン」 市江寛(鎌倉学園中高校) | ||
(4)「雨滴の形,ピンポンキャノン」 林煕嵩(愛知工業高校,愛知教育大学) | ||
(5)「トルネード」 杉本憲広(名古屋市菊里高校) | ||
(6)「100円ショップメガネ,熱気球」 喜多誠(慶應義塾高校) | ||
(7)「ロボキャット他」 大西はるか (丸亀高校) | ||
(8)「ビースピを使った力学的エネルギー保存の簡単な実験,アルミホイルによる帯電体」 岸澤眞一(埼玉県立越谷北高校) |
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グループ討論 | 科学リテラシーをテーマとして3班に分かれて討論 | |
全体会 | グループ討論の発表 |
大会の様子
1日目(8月11日)
西尾さん 電子黒板を使った物理授業の様子。映し出された画面上でコンピュータの操作ができます。この画面に書きこむこともできます。
林煕嵩さんの高感度磁場入り霧箱 過飽和層が深いのが特徴です。
左:上から見るタイプ 右:側面から見るタイプ
川勝さん 基調講演「何のための科学リテラシーか」
現代では人間が生きていくために必要な能力として,読み書き,そろばん以外に科学が入ってきた。
なぜ科学なのか,どのような科学教育が必要なのか,について話されました。
笠潤平さん 「英国21世紀の科学」 の紹介
石川さん 左:望遠鏡作りで使ったルーペ。100円ショップで購入したが性能はよい。 右:ガラス球で作った単式顕微鏡用レンズ
山崎さん ソコロフらのアクティブラーニングを公開講座で実施する予定
アクティブラーニングで使用する距離センサーを使った実験。提示されたv-tグラフのように歩きます。結果はリアルタイムで表示されます。上がv-tグラフ,下がx-tグラフ。
同じく距離センサーを用いた実験。台車に扇風機を載せて測定。右の写真は上からx-t,v-t,a-tグラフ。
1日目の会場の様子。
2日目(8月12日)
高木さん 右から,小さな穴の空いたベニヤ板,凸レンズ、位置合わせ用のCD。
CDの穴から覗くと,ベニヤ板の向こうの景色が倒立像で見えます。
右近さん 電池につながれた導線内の自由電子は電場によって移動しますが,その電場はどうして作られるのかということは教科書では説明されていません。このことを授業でどう扱ったらよいのかという問題提起です。
安竹さん、佐藤さん、森さん「インターネットによる物理教材の提示の試み」
実験交流会
湯口さん クーロンメーターを使った実験の紹介
飯田さん どこまで大きな豆腐が作れるか?
市江さんのピンポンキャノン。パイプの一端にピンポン球を入れ、両端をテープで塞いで真空ポンプで中の空気を抜きます。ピンポン球のある方の端のテープに穴を開けると,ピンポン球は勢いよく飛び出します。右の写真はピンポン球のあたったアルミ缶の様子。
林さん 下から空気が吹き出てきているところに水滴を垂らすと,水滴はしばらくの間空中に浮かんでいます。落下中の雨滴の形の観察ができます。空気の出し方に工夫があります。
林さんのピンポンキャノン
杉本さんのトルネード装置。右の写真は,水がトルネードによって持ち上げられているところ。
喜多さん 100円ショップの老眼鏡による実験の紹介
大西さん ロボキャット ハンドルを回すとコップの上の猫が面白い動きをします。
2日目の全体会の様子
2日目最後のグループ討論の様子
大会前日の8月10日(金),核融合科学研究所(岐阜県土岐市下石町322-6)の見学会を実施しました。
制御室 ヘリカル装置の実物大モデル
記念撮影