2025年11月の定例会(オンラインとのハイブリット)報告
日時 2025年11月29日(土)15:30~18:30  会場 麻布中・高校&Zoom

1
熱力学第1法則のあとさき 広井 禎
2
ニュートンビーズ(鎖の噴水)における頂点上昇非定常過程の解析 夏目 雄平
3
磁石間に働く磁気力の距離依存性を求める試み 増子 寛 平山 修
4
IPhO2023記念支援事業 実施報告 増子 寛
5
入試問題に準拠した実験キット「Physics Exam Lab」について 早野 龍五
6
速さ,速度を人間の感覚でどのようにとらえているか 殿村 洋文
7
浮沈子を圧力の授業で使うなら 殿村 洋文
8
電流が磁場から受ける力の測定 今井 章人
9
輪ゴムのおもちゃ 湯口 秀敏


 
今回も麻布中高の会場からzoomで配信するハイブリット開催。現地23名とzoom19名の計42名の参加。思わず休憩時間に話し込んでしまい進行が遅れてしまうが,その中で得るものも多い。

 
広井さん 第一法則の重要性が伝わっているだろうか?「宇宙でエネルギーが保存する」とはとんでもないことだと切り出し,方向性を示すことが大切だとの提案。熱力学は懐深い学問であると伝えたい。 

 
夏目さん 5月定例会に続いての報告。鎖の頂点がどのくらい上るかを解析的に扱った。結果,実験結果に合致し,これまでの定常状態の解析理論にもきちんと収束することがわかった。

 
平山さん 双極子間に働く磁気力はr^(-4)に比例する。磁石をパイプに通し,傾斜角を変えて磁石間距離を測定する実験を行ったところ,極板の面積が大きいほど冪の大きさは小さくなった。
増子さん 精密天秤を用いて実験を行った。リング状フェライトであるとr^(-2.71),ネオジム磁石だとr^(-3.86)などの結果を得た。直径/長さが小さいほど冪の大きさが小さくなる傾向は明らか。

 
増子さん 国際物理オリンピック2023記念支援事業として,APEJ主催の「高校物理の授業に役立つ基本実験講習会」が支援を受け,PC計測関連機器の購入の補助をしていただいた。

 
早野さん アルミカップ落下実験など,実際に入試問題として出題された実験を販売することで,実験の普及率を向上させようという試み。来年には5種類程度を提供する予定(HPはこちら)。

 
殿村さん 速さは視覚や音,風圧などから感じることがある。そうした5感が得た刺激と結びつけた方が初学者は理解しやすくなるのではないかとの提案。難しい試みではあるが,今後の展開を期待したい。

 
殿村さん 試験管を利用した浮沈子を作成。空気の体積変化が容易に観察でき,ペットボトルを横から押しても上下に縮むことが確認できる。シリコンカバーを利用した呼吸器モデルも格安で制作。

 
今井さん スマホアプリ「Phyphox」の磁気センサーを利用して,円形電流の磁場と電流から受ける力の測定の生徒実験を開発。磁石を並べて磁場の範囲を広げると電流が受ける力を精度よく測定できる。

 
湯口さん 輪ゴムを利用したおもちゃの紹介。身近にあり素材で実際に体験したことが,現在学んでいる物理と結びついていることを示し,授業をできるだけ楽しいものにしていきたい。